高齢者が利用する施設においては、介護職の仕事のひとつとしてバイタルサインの測定というものがある。すべての高齢者施設で行われているわけではないが、居住型の施設では計測していることが多いだろう。介護職の人々は、バイタルサインの測定のための技術も身に着ける必要がある。バイタルサインとは、その名の通りバイタル(生体)のサイン(兆候)のことであり、生体が活動するうえで重要な働きをする際に発生する動きのことを指し、これを計測することもバイタルサインと指すことがある。主なバイタルサインとして計測するものは、体温や血圧、脈拍に呼吸をあげることが可能だ。
この4つが基本であるが、これらだけではなく歩行スピードや歩幅、足の上がる高さに、肌の状態などといった目に見える範囲の変化もバイタルサインに一つに数えることができる。バイタルサインの計測は、施設利用者の健康の維持や管理を目的している。生体にとって大切な反応である故、これを計測することにより健康状態を確認し、異常な数値だった際は何か問題が生じた可能性もあるため、専門医と数値の指導のもとで薬などによって対処することになる。バイタルサインから体調の変化を読み取ることも目的であるため、毎日慢性的に計測するだけでは意味がない。バイタルサインは、一人一人同じ数値が現れるものでもない。
そのため、リラックスして毎日同じ条件のもとで計測することがポイントになる。どのような状態の時に変化があり、その変化はその人にとってどのようなものなのかを考える。それが介護におけるバイタルサインでは最も重要といえるだろう。