バイタルサインの理解して介護を行う

バイタルサインは、利用者の健康状態を知るための基本的かつ重要な情報である。介護サービスを提供する上で、医療職との連携は不可欠なものであり、バイタルサインをしっかり理解することが大切だ。一般的にバイタルサインは、体温や血圧、脈拍や呼吸のことをいい、広い意味では、意識レベルや食欲、排泄の状態や睡眠、神経の反射なども含まれる。

このうち、体温は、脳や心臓など、身体の内部の温度のことを指す。毎回、体内に体温計を入れることは難しいため、実際には、測りやすく、かつ体内に近い温度が得られる部位で測る。基本的には、腋下の中央に体温計を当て、しっかりと脇を閉じて測定を行う。計測時の条件によって体温の値は変わってくるため、年齢差、個人差、行動差があることを知ったうえで、利用者の平熱の把握につとめることが重要だ。発熱は平熱より1度以上上昇した場合であり、主な原因として感染症や脱水、熱中症などがある。発熱した場合は、正しく測定されたかを確認して、血圧や脈拍を測定したうえで、医師や看護師に報告するのも介護職の仕事だ。また、熱が上昇する時期は、悪寒戦慄、頭痛、倦怠感や関節痛などの症状があらわれる。この時期には、掛物をかけたり、湯たんぽや電気毛布などを用いて保温につとめることが大事だ。

熱があがりきったら、全身倦怠や顔面紅潮などがあらわれるので、身体を冷やすようにする。また、熱が下がりはじめたら、脱水症状になる前に、スポーツ飲料やイオンゼリーで、塩分とともに水分補給を行うことが大事だ。加えて、発汗により皮膚が汚れやすいため、清拭で皮膚を清潔に保つようにするのが介護のポイントだ。